持久系スポーツ(トライアスロン、マラソンなど)では、レース前・中にロキソニンなどの鎮痛剤を服用している人が一定数いるけれども、果たして効果はいかほどなのか?
次の 2009 年の Thew New York Times の記事をもとにまとめてみる。
Phys Ed: Does Ibuprofen Help or Hurt During Exercise?
By GRETCHEN REYNOLDS SEPTEMBER 1, 2009 11:59 PM
http://well.blogs.nytimes.com/2009/09/01/phys-ed-does-ibuprofen-help-or-hurt-during-exercise/
この記事では
- ウルトラマラソン(Western States Endurance Run 100 mile)
- フルマラソン
- トライアスロン(Ironman Brazil)
- サッカー(ワールドカップ)
などの選手を対象に、レース前・中の鎮痛剤(とくにイブプロフェン)の効果について検証した論文が紹介されている。
順に見ていく。
ウルトラマラソン(western states)
レース前・中に鎮痛剤を服用したランナーは服用しなかったランナーに比べて、レース後の
- 炎症反応
- 免疫反応
が強く、イブプロフェンの利用者は、レース中・後に
- 腎臓機能の低下
- 軽度のエンドトキシン血症
が見られた。
また、レース中の体感する痛みに違いはなかった。(両群の実力の違いは不明)
イブプロフェンの利用者が全体の七割を占め、その多くは、レース中も一定間隔で服用していた。
一般化する鎮痛剤の服用
NSAIDs の愛好家は地域もスポーツも競技レベルも選ばない
- トライアスロン(Ironman 2008 Brazil) 60 %
- フルマラソン(2002 New Zealand) 13%
- プロサッカー(イタリア 2002-2003 シーズン) 86%
また、2002 と 2006 の FIFA World Cup では
- 半数が少なくとも一度服用
- 10%が各試合前に服用
となっている。
アスリートは実際の効用に関係なく、常用していることがわかる。
NSAID は痛みを発生させるプロスタグランジンの生成を抑制しているが、回復に重要な働きをするコラーゲンの生成も抑制してしまう。
日常のトレーニングのお供として鎮痛剤を常用すると、トレーニング効果を軽減させてしまう。
まとめとしては
- 打撲、骨折、捻挫のような急性援用の場合は鎮痛剤が効果的。
- ただし、運動や、レースのたびに服用するのは肯定できない